医療事故・過誤サイト

 

「医薬品情報学」 HP紹介 文責shimo

JJD(医薬品情報学)2000:3:117-124 医療事故・過誤サイト


最近、相次いで医療事故が発生し、国民の医療に対する信頼が大きく揺らいでいる。
医療に関連して生じた事故を医療事故といい、医療従事者に過失がある場合には「医
療過誤」とよばれる。医療事故が発生した場合には、刑事責任、民事責任、行政処分
のほか社会的、道義的責任なども付随して発生する。今回は、医療事故・過誤サイト
を取り上げる。これらのサイトには公的機関によるもの、医療側によるもの、弁護士
によるもの、患者の立場からのものなど様々なサイトが存在する。

1 公的機関によるもの
■ 厚生省のホームページ
( http://www.mhw.go.jp/ )
 厚生省では医療事故防止対策の取り組みのひとつとして、医薬品、医療用具その他
現場で使用される製品について、名称、容器・包装、表示、指導などを医療事故が起
こりにくいものに改めることが必要という考え方から、製品に関連した医療事故例の
情報を医療現場から幅広く収集し、検討を行う場として、「医薬品・医療用具等関連
医療事故防止対策検討会」を設置した。以下に関連情報が掲示されている。

■ 「医薬品・医療用具等関連医療事故防止対策」の推進について
                                   2000.4.28
「医薬品・医療用具等関連医療事故防止対策検討会」の設置について
http://www.mhw.go.jp/houdou/1205/h0511-1_15.html )

■医薬品副作用被害救済・研究振興調査機構 (略称: 医薬品機構) のホームページ
 ( http://www.kiko.go.jp/ne/top.html )
 医薬品副作用被害救済制度は、医薬品を適正な目的のために使用したにもかかわら
ず発生した副作用による疾病、障害または死亡に関して、医療費、障害年金、遺族年
金等の給付を行うことなどにより、医薬品の副作用による健康被害の迅速な救済を図
ることを目的としている。

2「看護のヒヤリ・ハット事例の分析」 厚生省研究によるもの
( http://www.mhw.go.jp/houdou/1206/h0626-1_10.html )
また、平成11年度厚生科学研究では、「医療のリスクマネジメントシステム構築に関
する研究」(主任研究者:杏林大学保健学部 川村治子氏)を行った。300床以上の病院
218施設に勤務する看護婦からヒヤリとしたりハッとした事例11,148件を収集・分析
し、平成12年6月26日に公表、7月18日にホームページへの掲載を行った。
図1-1にトップページを示し、図1-2に与薬エラー発生要因マップ(注射)の一部の画面
を示した。アンプル、バイアルのラベルの文字やふたの色が類似(ドプトレックスと

ルベッサー、デキサシェロソンとプリモボラン・デポ、アトニンとミラクリッド)な
どと具体的な例があげられている。星の数で例数が示されている。

3「医療事故オンブズマン メディオ」 市民団体によるもの
( http://www.hypertown.ne.jp/medio/ )
医療被害者の支援と市民のための医療制度の確立を目指して設立された市民団体。カ
ルテ開示や医療費不正請求の監視などの活動も行っている。
図2-1は「医療費の不正請求を監視する」というページ
本人や遺族から請求された場合、保険者はレセプトのコピーを渡す、という通知につ
いて説明。医療側が独占してきた情報を患者が共有することこそ、医療事故を予防
し、良い医療を選択することにつながると述べている。

4「医療事故情報センター」 弁護士によるもの

( http://www3.ocn.ne.jp/~mmic/ )
医療事故情報センターは本年で設立満10年を迎える。弁護士と、医療スタッフと医療
被害者を結ぶネットワークである。医療における人権確立、医療制度の改善、医療事
故の再発防止と被害者の救済のために、医療事故に関する情報を集め主に患者側の弁
護士に提供している。
図3-1は「医療事故情報センター」のトップページ。弁護士のリレーエッセイ等のメ
ニューがある。図3-2は医療訴訟の弁護士費用のきまりをやさしく解説している。

5「医療事故調査会」 医師によるもの
( http://www.reference.co.jp/jikocho/ )
医療事故の調査や鑑定などに関わった経験のある医師等が終結して、医療事故を客観
的に調査・評価し、鑑定意見書を作成するとともに、各ケースに関し明らかとなった
問題点を解析し、今後の医療の改善のために提言する団体のサイト。
第4回シンポジウムで報告された医療事故に関するデータが集計されている。当会へ
のこの4年間(平成7年4月〜11年3月末)の鑑定等の依頼件数は、875件である。鑑
定意見書が作成された250件に関する分類がされている。図4-1はトップページ。鑑定
意見書を作成した250件の図4-2は現疾患による分類。疾患別に過誤、非過誤、不明例
に対する、死亡例、障害例の例数を掲示している。

最近の重大な医療事故の発生が国民に衝撃と不安を与えた。日本病院薬剤師会では平
成12年4月にリスクマネジメント特別委員会を発足した。また、平成12年厚生科学研
究で「医薬品等の使用に関連した過誤防止に関する研究」に報告・収集期間として取
り組む。現在、各施設においても早急な安全対策の検討が行われている。

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