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1. 承認概要 | ||
新有効成分 2021年9月 / 2021年12月 発売 | ||
2. 薬効分類名 | ||
ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害剤 | ||
3. 一般的名称 | ||
アブロシチニブ | ||
4. 適応症 | ||
既存治療で効果不十分なアトピー性皮膚炎 | ||
5. 類薬との比較 | ||
![]() 新しいアトピー性皮膚炎治療薬を追加しました。2024/10 | ||
6. 特徴 | ||
【特徴】 本剤は、全身療法が可能な経口剤であり、既存治療で効果不十分な中等症~重症のアトピー性皮膚炎(AD)の新たな選択肢として期待されています。 【承認状況】 海外では英国で承認されています(2021年9月現在)。また、米国においてブレークスルー・セラピー(画期的治療薬)の指定を受け、優先審査品目に指定されています。 【作用機序】 本剤はヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬の中でもJAK1を選択的に阻害する薬剤です。 JAK1を阻害することで、TNFαやIL-6による刺激が核に伝わるのを遮断して炎症を抑え、アトピー性皮膚炎の進行を抑制すると考えられています。 【用法・用量】 通常、成人および12歳以上の小児には、アブロシチニブとして100mgを1日1回経口投与します。患者の状態に応じて200mgを1日1回投与することもできます。なお、中等度の腎機能障害(30≦eGFR<60)では50mgまたは100mgを1日1回投与し、重度の腎機能障害(eGFR<30)では50mgを1日1回経口投与します。 本剤投与時も保湿外用薬は継続使用し、病変部位の状態に応じて抗炎症外用薬を併用します。なお、投与開始から12週までに治療反応が得られない場合は中止を考慮します。 【副作用】 AD患者を対象に本剤を投与した臨床試験の併合解析において、発現頻度2%以上の臨床検査値異常を含む有害事象が確認されたのは3,128例中2,294例でした。主な副作用は、上咽頭炎、悪心、アトピー性皮膚炎、上気道感染、ざ瘡、筋骨格系および結合組織障害などでした。 なお、重大な副作用として感染症(単純ヘルペス[3.2%]、帯状疱疹[1.6%]、肺炎[0.2%])、静脈血栓塞栓症(肺塞栓症[0.1%未満]、深部静脈血栓症[0.1%未満])、血小板減少(1.4%)、ヘモグロビン減少(ヘモグロビン減少[0.9%]、貧血[0.6%])、リンパ球減少(0.7%)、好中球減少症(0.4%)、間質性肺炎(0.1%)、肝機能障害、消化管穿孔(いずれも頻度不明)が報告されています。 | ||
7. 使用上の注意と服薬支援 | ||
【薬剤師への注意】 1. 重篤な感染症(敗血症等)、活動性結核、重度の肝機能障害(Child Pugh分類C)のある患者さんには、禁忌です。 2. 妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、禁忌です。 3.ステロイド外用薬やタクロリムス外用薬などの抗炎症外用薬による適切な治療を一定期間施行しても十分な効果が得られず、強い炎症を伴う皮疹が広範囲に及ぶ患者さんに使用します。 【患者さんへの指導例】 1.この薬は、皮膚バリア機能を低下させたり、アレルギー炎症を悪化させたりするJAKという酵素の産生を抑えることで、アトピー性皮膚炎の症状を改善します。 2.本剤には免疫を抑制させる作用があるため、発熱や倦怠感、皮膚の感染症、咳が続く、帯状疱疹や単純ヘルペスなどの感染症の症状に注意し、気になる症状が現れた場合は、すみやかにご相談ください。 3.この薬を服用している間は、生ワクチン(麻疹、風疹、おたふく風邪、水痘・帯状疱疹、BCGなど)の接種ができません。接種の必要がある場合は主治医に相談してください。 4.(女性に対して)この薬を服用中、および服用中止後一定期間は適切な避妊をしてください。 5.これまで使用していた保湿薬は続けて使用してください。 【ここがポイント!】 近年、ADの新しい治療薬が次々と発売されており、難治例における治療が大きく変化しつつあります。本剤と同じ経口JAK阻害薬のほかにも、ヒト型抗ヒトIL-4/13受容体モノクローナル抗体製剤のデュピルマブ(商品名:デュピクセント皮下注)や、外用JAK阻害薬のデルゴシチニブ(同:コレクチム軟膏)などがすでに発売されています。 本剤は、ADの適応を得た経口JAK阻害薬として、バリシチニブ(商品名:オルミエント錠)、ウパダシチニブ水和物(同:リンヴォック錠)に続く3剤目となります。また、12歳以上のアトピー性皮膚炎患者に使用できる経口剤としてはウパダシチニブに続いて2剤目となります。 相互作用については、フルコナゾール、フルボキサミンなどの強力なCYP2C19阻害薬、あるいはリファンピシンのような強力なCYP2C19および CYP2C9誘導薬との併用に注意が必要です。これらの薬剤と併用する場合、可能な限りこれらの薬剤をほかの類薬に変更する、または休薬するなどの対応を考慮します。 経口JAK阻害薬は、肺炎、敗血症、ウイルス感染などによる重篤な感染症や結核の顕在化および悪化への注意が警告に記載されています。生ワクチンの接種は控え、帯状疱疹やB型肝炎ウイルスの再活性化にも注意する必要があります。 調剤時の注意に関しては、抗うつ薬/慢性疼痛治療薬デュロキセチン(商品名:サインバルタカプセル)と販売名が類似していることから、取り違え防止案内が発出されています。薬剤の登録名や調剤棚の表示などを工夫して、取り違えを防ぎましょう。 | ||
8. 製造販売元など | ||
製造販売元:ファイザー株式会社 お問合せ先:ファイザー株式会社 製品情報センター 0120-664-467 更新:2024/10/09 類薬の表 |