◆ 新薬情報 index

2019年1月製造販売承認

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■ビジンプロ錠15mg,45mg■レルミナ錠40mg■ミネブロ錠1.25mg,2.5mg,5m…■タリージェ錠2.5mg,5mg,10mg…
■ ミネブロ錠1.25mg,2.5mg,5mg
1. 承認概要
新有効成分 2019年1月 / 2019年5月 発売
2. 薬効分類名
選択的ミネラルコルチコイド受容体ブロッカー
3. 一般的名称
エサキセレノン錠
4. 適応症
高血圧症
5. 類薬との比較

6. 特徴
【特徴】
本剤はわが国で3番目のミネラルコルチコイド受容体拮抗薬(MR拮抗薬)であり、ステロイド骨格を有さず、性ホルモン関連の副作用が軽減されているのが特徴です。中等度の腎機能障害およびアルブミン尿を有する2型糖尿病を合併する高血圧症患者にも投与することができ、これまでの高血圧症患者のアンメットニーズを満たす薬剤となることが期待されています。
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【承認状況】
2019年4月時点において、海外で承認されている国および地域はありません。

【作用機序】
本剤は、体液量の恒常性の維持に寄与するアルドステロンが作用するMR受容体の活性化を抑制することで降圧作用を示します。

【用法・用量】
通常、成人にはエサキセレノンとして2.5mgを1日1回経口投与します。なお、効果不十分な場合は5mgまで増量することができます。

【副作用】
国内第III相臨床試験において、総症例1,250例中162例(13.0%)に、臨床検査値異常を含む副作用が認められました。主な副作用は、血清カリウム値上昇51例(4.1%)、血中尿酸増加17例(1.4%)、高尿酸血症13例(1.0%)などでした(承認時)。
なお、重大な副作用として高カリウム血症(1.7%)が認められています。
7. 使用上の注意と服薬支援
【薬剤師への注意】
1.本剤は、高カリウム血症の患者もしくは本剤投与開始時に血清カリウム値が5.0mEq/Lを超えている患者や重度の腎機能障害のある患者、カリウム保持性利尿剤やカリウム製剤などを投与中の患者には禁忌であり、ACE阻害薬、ARB製剤は併用注意となっています。

【患者さんへの指導例】
1.この薬は、血圧を上げるホルモン(アルドステロン)の働きを抑えることにより、血圧を低下させます。
2.血圧が下がることにより、めまいなどが現れることがあるので、高所作業、自動車の運転など危険を伴う機械の操作には注意してください。
3.飲み合わせに注意すべき薬や健康食品があるため、現在服用している薬やサプリメントがある場合は、医師・薬剤師にお伝えください。また、新たに薬を飲み始める場合は、あらかじめ相談してください。
4.本剤を服用中は、体内のミネラルバランスを保つために、こまめな水分摂取や適度な運動を心掛け、脱水や便秘を予防してください。
5.この薬の服用により、血中のカリウム値が上昇することがあります。手や唇がしびれる、手足に力が入らない、吐き気などの症状が現れた場合は相談してください。
6.葉物野菜や芋類、豆類、バナナなど、カリウムを多く含む食物を食べ過ぎないように注意してください。カリウムは水に溶けやすいため、ゆでたり水にさらしたりすることで、カリウムを減らすことができます。

【ここがポイント!】
MR拮抗薬は『高血圧診療ガイドライン2014』において、高血圧症治療の第1選択薬とはなっていないものの、ミネラルコルチコイドが関与する低レニン性高血圧症にとくに効果が期待でき、治療抵抗性高血圧症に対しても有用であるとされています。
既存のMR拮抗薬としては、スピロノラクトン(商品名:アルダクトンA)とエプレレノン(同:セララ)が発売されています。スピロノラクトンのMR拮抗作用は強力ですが、女性化乳房や月経異常などの性ホルモンに関連した副作用を発現しやすいことが治療継続の課題となっています。MRへの選択性が高いエプレレノンは、性ホルモン関連副作用は軽減されています。
本剤はMR選択性を有し、本態性高血圧症患者を対象とした臨床試験においてエプレレノンに劣らない降圧作用が認められています。また、中等度の腎機能障害患者、および微量アルブミン尿または蛋白尿を伴う糖尿病患者に対しても、血清カリウム値の定期的な測定は必要ですが投与可能です。今までMR拮抗薬を使用できなかった血圧コントロール不良の患者の新たな治療選択肢となりうるでしょう。
8. 製造販売元など
製造販売元:第一三共株式会社
お問合せ先:第一三共株式会社 製品情報センター 0120-189-132
(文責 下平秀夫) 2019年5月/2022年7月更新