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1. 承認概要 | ||
新有効成分 2020年1月 / 2020年6月 発売 | ||
2. 薬効分類名 | ||
外用ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬 | ||
3. 一般的名称 | ||
デルゴシチニブ | ||
4. 適応症 | ||
アトピー性皮膚炎 | ||
5. 類薬との比較 | ||
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6. 特徴 | ||
【特徴】 本剤は、20年ぶりに登場した外用アトピー性皮膚炎治療薬で、世界初の外用JAK阻害薬です。免疫細胞および炎症細胞の活性化を抑制することで、皮膚の炎症とかゆみを改善することが期待されています。 【承認状況】 本剤は、非ステロイド性の世界初の外用JAK阻害剤です(2020年5月現在)。 【作用機序】 本剤は、JAKファミリー(JAK1、JAK2、JAK3及びTyk2)のキナーゼ活性を阻害することにより、種々のサイトカインシグナル伝達を阻害します。サイトカインにより誘発される免疫細胞及び炎症細胞の活性化を抑制して皮膚の炎症を抑制し、またサイトカインにより誘発されるそう痒を抑制します。 本剤は、細胞内の免疫活性化シグナル伝達に重要な役割を果たすJAKの働きを阻害し、免疫反応の過剰な活性化を抑制することでアトピー性皮膚炎を改善します。 【用法・用量】 通常、成人には、1日2回、1回当たり最大5gまでの適量を患部に塗布します。なお、治療開始4週間以内に皮疹の改善が認められない場合は使用を中止します。症状が改善した場合には、継続投与の必要性について検討して、漫然とした長期使用を避ける必要があります。 【副作用】 軽症、中等症または重症のアトピー性皮膚炎患者352例を対象とした第III相長期試験(QBA4-2試験)において、副作用は69例(19.6%)に認められました。主な副作用は、適用部位毛包炎11例(3.1%)、適用部位ざ瘡10例(2.8%)、適用部位刺激感9例(2.6%)、適用部位紅斑7例(2.0%)でした。なお、重篤な副作用として、カポジ水痘様発疹が1例(0.3%)に認められています。 | ||
7. 使用上の注意と服薬支援 | ||
【薬剤師への注意】 1.RMPにおいて、「皮膚感染症」は、重要な特定されたリスクとされています。第 III 相比較試験において皮膚感染症に分類された副作用は、本剤群で3.8%でした。 【患者さんへの指導例】 1.この薬は、皮膚の炎症とかゆみを抑えることで、アトピー性皮膚炎を改善します。 2.大人の人さし指の先端から第1関節まで出した量(1FTU=約0.5g)で、手のひら2枚分くらいの面積に塗ることができます。塗った部分にティッシュが付く、または皮膚がテカテカする程度が適切な使用量の目安です。 3.粘膜や皮膚の損傷、ただれている部位は避けて塗ってください。 4.この薬を塗ったところがヒリヒリする、吹き出物ができるなど、気になる症状が現れた場合は、医師または薬剤師に相談してください。 5.万が一眼に入った場合は、ただちに水で洗い流してください。 【ここがポイント!】 本剤は、アトピー性皮膚炎に適応を有する世界初の外用JAK阻害薬です。従来、アトピー性皮膚炎治療は、ステロイド外用薬やタクロリムス軟膏(免疫抑制薬)が中心となっています。しかし、ステロイド外用薬には皮膚萎縮、毛細血管拡張、ステロイドざ瘡などの副作用、タクロリムス軟膏には皮膚刺激性などの副作用や投与条件の制約などの課題があるため、長期的な使用ができないこともあります。 本剤は、種々のサイトカイン刺激により誘発される免疫細胞および炎症細胞の活性化を抑制し、アトピー性皮膚炎を治療する薬剤です。国内臨床試験において、抗炎症作用および抗そう痒作用による皮疹改善作用が確認されています。 副作用としては、皮膚感染症の他、刺激感や紅斑などが報告されていますが、皮膚萎縮および血管拡張は認められていません。適用部位刺激感は、投与初期(0~4週後)に発現する傾向があるので、とくに初回の服薬指導時は注意を忘れないようにしましょう。 なお、現在は16歳以上の患者が適応であり、ステロイド外用薬を併用する場合には、患者の状態を踏まえて部位によって使い分けるなど慎重に判断する必要があります。 外用のアトピー性皮膚炎治療薬として、ステロイド外用薬やタクロリムス軟膏に続く新たな治療選択肢になりうると期待されますが、世界で初めてわが国で承認された薬剤ですので、今後の安全性情報には注意しておきましょう。 | ||
8. 製造販売元など | ||
製造販売元:日本たばこ産業株式会社 販売元:鳥居薬品株式会社 お問合せ先:鳥居薬品株式会社 お客様相談室 0120-316-834 |