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2022年9月製造販売承認

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■メトジェクト皮下注7.5mgシリンジ0.…■グラアルファ配合点眼液■ソーティクツ錠6mg■マンジャロ皮下注2.5mg,5mg,7.…
■ マンジャロ皮下注2.5mg,5mg,7.5mg,10mg,12.5mg,15mgアテオス
「マンジャロ皮下注」は2型糖尿病に適応を持つ、GIP/GLP-1 受容体作動薬で、血糖が高い時にインスリン分泌を促進し、食欲減退による体重増加の抑制作用も期待。
1. 承認概要
新有効成分 2022年9月 / 20123年4月 発売
2. 薬効分類名
持続性 GIP/GLP-1 受容体作動薬
3. 一般的名称
チルゼパチド
4. 適応症
2型糖尿病
5. 類薬との比較

本剤は、GIP-1受容体作動薬の仲間ですが、本剤はGIPにも作用します。
6. 特徴
​【特徴】
本剤は、GIPとGLP-1の2つの受容体に単一分子として作用する世界初の持続性GIP/GLP-1受容体作動薬であり、選択的かつ長時間にわたる血糖値の改善が期待されています。

【承認状況】
本剤は、2022年5月に米国、2022年6月にアラブ首長国連邦で2 型糖尿病を適応症として承認されています(2022年9月現在)。

【作用機序】
本剤は、GIP 受容体及び GLP-1 受容体のアゴニストであり、膵β細胞上の両受容体に結合して活性化することで、グルコース濃度依存的にインスリン分泌を促進させることで血糖値を低下させます。

【用法・用量】
通常、成人には、チルゼパチドとして週1回2.5mgを4週間皮下投与した後、維持用量である週1回5mgに増量します。患者の状態に応じて適宜増減し、週1回5mgで効果不十分な場合は、4週間以上の間隔を空けて2.5mgずつ増量することができます。最大用量は週1回15mgで、同一曜日に投与します。

【副作用】
日本人および外国人2型糖尿病患者を対象とした国際共同第III相試験、日本人2型糖尿病患者を対象とした国内第III相試験の本剤5mg投与群において、副作用は544例中232例(42.6%)で報告されています。主なものは、悪心60例(11.0%)、下痢48例(8.8%)、食欲減退46例(8.5%)、便秘44例(8.1%)などでした。
なお、重大な副作用として、低血糖(頻度不明)、急性膵炎(0.1%未満)が報告されています。
デバイスは
7. 使用上の注意と服薬支援
【薬剤師への注意】
1.本剤とDPP-4阻害薬はいずれもGLP-1受容体およびGIP受容体を介した血糖降下作用を有しています。両剤を併用した際の臨床試験成績はないため、併用処方の場合には疑義照会が必要です。

【患者さんへの指導例】
1.この薬は、GIP/GLP-1受容体作動薬と呼ばれる2型糖尿病の治療薬です。血糖値が高くなるとインスリンの分泌を促進し、またインスリンを効きやすくすることで血糖値を下げます。
2.週1回、同じ曜日に投与してください。オートインジェクター型注入器は1回使い切りです。
3.めまいやふらつき、動悸、冷や汗などの低血糖症状を起こすことがあるので、高所作業、自動車の運転など危険を伴う作業を行う際は注意してください。これらの症状が認められた場合は、ただちに糖質を含む食品を摂取してください。
4.悪心、嘔吐、下痢、便秘、腹痛、消化不良、食欲減退が強い場合はご相談ください。
5.嘔吐を伴う激しい腹痛が現れた場合は使用を中止し、速やかに受診してください。
6.冷蔵庫内などで光が当たらないように保管してください。凍結は避けて、もし凍結した場合は使用しないでください。室温で保管する場合は、外箱から出さずに保管し、21日以内に使用してください。30℃を超える場所では保管しないでください。

【ここがポイント!】
本剤は、39個のアミノ酸を含む合成ペプチドであり、単一分子でグルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド(GIP)受容体およびグルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)受容体の双方に作用する世界初の持続性GIP/GLP-1受容体作動薬です。GIPとGLP-1はいずれも食事が小腸を通過することで分泌されるホルモンで、血糖が高い場合には膵臓におけるインスリン分泌を促進するとともに、食欲減退や満腹感亢進による体重増加の抑制作用が期待されています。
なお、米国では2022年5月に「成人2型糖尿病治療における血糖コントロール改善のための食事および運動療法の補助療法」として承認を取得しているので、わが国よりも早期のステージでの使用が想定されます。
注入器のアテオスは、既存のトルリシティにも使用されているオートインジェクターで、1回使い切りのキットです。注射針付きのシリンジがあらかじめ装填されており、空打ちをすることなく、ボタンを押すだけで自動的に投与することができます。医療機関において、適切な在宅自己注射教育を受けた患者さんやご家族は本剤の自己注射が可能です。
国内の実薬対照二重盲検比較試験(SURPASS J-mono試験)では、主要評価項目であるHbA1cのベースラインから投与52週時までの平均変化量について、デュラグルチド0.75mg(商品名:トルリシティ)に対する本剤5mg、10mg、15mgの優越性が認められました。また、非盲検長期安全性試験(SURPASS J-combo試験)では、本剤5mg、10mg、15mgを経口血糖降下薬単剤と併用し、安全性および有効性が確認されました。
主な副作用として、悪心、嘔吐、下痢、便秘、腹痛、消化不良、食欲減退などの消化器症状が報告されており、投与開始時の用量の漸増は、胃腸障害リスクの回避・軽減を目的としています。用量依存的な体重減少も認められているため、過度の体重減少にも注意する必要があります。投与開始時のBody Mass Index(BMI)が23kg/m2未満の患者での有効性および安全性は検討されていません。
副作用は、悪心60例(11.0%)、下痢48例(8.8%)、食欲減退46例(8.5%)などで、胃腸障害リスクの軽減を目的として投与開始時の用量を漸増します。
8. 製造販売元など
製造販売元:日本イーライリリー株式会社
販 売 元:田辺三菱製薬株式会社
お問合せ先:日本イーライリリー株式会社 Lilly Answers リリーアンサーズ  0120-360-605 
      田辺三菱製薬株式会社 くすり相談センター 0120-753-280 

更新 2023.05.10 2023.04発売について加筆
(文責 下平秀夫) 2022年12月/2023年5月更新