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2022年9月製造販売承認

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■メトジェクト皮下注7.5mgシリンジ0.…■グラアルファ配合点眼液■ソーティクツ錠6mg■マンジャロ皮下注2.5mg,5mg,7.…
■ ソーティクツ錠6mg
「ソーティクツ錠6mg」は乾癬を治療するTYK2(JAK)阻害剤で、1日1回経口投与します。
1. 承認概要
新有効成分 2022年9月 / 2022年11月 発売
2. 薬効分類名
TYK2阻害剤
3. 一般的名称
デュークラバシチニブ
4. 適応症
既存治療で効果不十分な下記疾患
尋常性乾癬、膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症
5. 類薬との比較

乾癬に適応のあるJAK阻害剤としては、リンヴォックに次ぐ2剤目です。ただし、リンヴォックには関節性乾癬にしか適応がありません。
6. 特徴
【特徴】
本剤は、TYK2を選択的に阻害する世界初の経口薬で、乾癬に対する既存治療で効果が不十分であった患者や、副作用などにより治療継続が困難であった患者の新たな選択肢として期待されています。

【承認状況】
本剤は、米国を含め2か国で承認されています(2022年9月現在)。

【作用機序】
本剤は、ヤヌスキナーゼ(JAK)ファミリーに属するTYK2を選択的に阻害することで、乾癬の原因となる炎症性サイトカイン(IL-12、IL-23、TNFα、IFN-α)による刺激が核に伝わるのを遮断して炎症を抑え、乾癬の進行を抑制すると考えられています。

【用法・用量】
通常、成人にはデュークラバシチニブとして1回6mgを1日1回経口投与します。
なお、本剤使用前には結核・B型肝炎のスクリーニングを行い、24週以内に本剤による治療反応が得られない場合は、治療計画の継続を慎重に判断します。

【副作用】
国際共同第III相臨床試験(IM011-046試験)において、本剤投与群の22.0%(117/531例)に臨床検査値異常を含む副作用が発現しました。主なものは、下痢2.6%(14例)、上咽頭炎2.4%(13例)、上気道感染2.3%(12例)、頭痛1.9%(10例)などでした。
なお、重大な副作用として、重篤な感染症(0.2%)が報告されています。
乾癬は、免疫の異常により頭皮や髪の生え際、ひじ、ひざ、おしりなどの皮膚が炎症を起こして浸潤・肥厚、紅斑、鱗屑などの症状が起こります。
7. 使用上の注意と服薬支援
【薬剤師への注意】
1.安全性では、結核の既往歴を有する患者では結核を活動化させる可能性があるため注意が必要です。
2.感染症の発症、帯状疱疹やB型肝炎ウイルスの再活性化の懸念もあるため、症状の発現が認められた場合にはすぐに受診するよう患者さんに説明しましょう。

【患者さんへの指導例】
1.この薬は、乾癬の原因となる酵素の働きを抑えることで、皮膚の炎症などの症状を改善します。
2.免疫を抑える作用があるため、発熱、寒気、体がだるい、咳が続くなどの一般的な感染症症状のほか、帯状疱疹や単純ヘルペスなどの症状に注意し、気になる症状が現れた場合は速やかにご相談ください。
3.本剤を使用している間は、生ワクチン(BCG、麻疹・風疹混合/単独、水痘、おたふく風邪など)の接種ができないので、接種の必要がある場合は医師にご相談ください。
4.感染症を防ぐため、日頃からうがいや手洗いを行い、規則正しい生活を心掛けてください。また、衣服は肌がこすれにくくゆったりとしたものを選び、高温や長時間の入浴はできるだけ避けましょう。

【ここがポイント!】
本剤は、TYK2阻害作用を有する世界初の経口乾癬治療薬です。TYK2はヤヌスキナーゼ(JAK)ファミリーの分子ですが、本剤のようなTYK2だけを選択的に阻害する薬剤は比較的安全に使用できるのではでないかと期待されています(一般名の末尾はJAK阻害薬の標準ステムである「-citinib」となっています)。
本剤の名称の由来は、TYK2(テクツー)に高い選択性があること、優れた経口治療薬(Superior Oral Treatment)となるようにという願いを込めて、「ソー」+「ティクツ」となったそうです。
乾癬の治療としては、副腎皮質ステロイドやビタミンD3誘導体による外用療法、光線療法、シクロスポリンやエトレチナート(商品名:チガソン)などによる内服療法が行われています。近年では、多くの生物学的製剤が開発され、既存治療で効果不十分な場合や難治性の場合、痛みが激しくQOLが低下している場合などで広く使用されるようになりました。
また、同じ経口薬としてPDE4阻害薬のアプレミラスト(同:オテズラ)が「局所療法で効果不十分な尋常性乾癬、関節症性乾癬」の適応で承認されています。臨床試験において、本剤投与群ではアプレミラストを上回る有効性を示しており、この点が評価されて薬価算定では40%の加算(有用性加算I)が付きました。
TYK2阻害薬は自己免疫疾患に対する新規作用機序の薬剤であり、今後の期待として潰瘍性大腸炎や全身性エリテマトーデスなどの幅広い疾患に適応が広がる可能性があり、注目されています。
生ワクチン(BCG、麻疹・風疹混合/単独、水痘、おたふく風邪など)は接種禁止で、また、結核の活動化に注意が必要です。
8. 製造販売元など
製造販売元:ブリストル・マイヤーズ スクイブ株式会社 
お問合せ先:ブリストル・マイヤーズ スクイブ株式会社 メディカル情報グループ
      0120-093-507

更新 2023.05.04 イラストの説明文に加筆
(文責 下平秀夫) 2023年2月/2023年5月更新